「うちの社長はこんなもの。この程度の奴だ」と思われた方がいいんです
日経ビジネスオンラインで、ブラザー工業社長の記事を見た。
へぇぇ~と軽く驚いてみた。
私がかつていた会社で、社長がこれほどプライベートをオープンにするのは考えられない。
というか、私にとってはどこかバーチャルな存在だったから。
『会社にいたら、社長と話する機会くらいあるでしょ!』
まだOLしていた頃に、お世話になったコーチとのセッションにて。
なぜそんな話になったのか覚えてないが、「社長に話を聞いてきなさい」とコーチに強く勧められた。
そのコーチは、自分がいた会社を基準に「こうしてみては・・」と迫ってきたのだが、こっちは当惑するばかりだった。
だって、話をするどころか、顔さえもまともに見た記憶がないんだから。
当時の勤め先は、数千人の従業員を抱える会社だった。
そこで事務職に就いていた。部署内の雑務が主だったので、自分が所属する部署内の人たちとしか、殆ど接点がなかった。
また支社に所属する私が、社長にお目にかかる機会なんて本当にない。
社内報で写真を拝ませてもらったり、たまに社内放送でお話を伺う程度。
遠い遠い存在どころか・・・マスコミを通じて拝見する偉い方(例えば、首相とか)と変わらないかもしれない。
いや、あくまでも私にとってはだが、「殿様」のような存在でもあった。
今でも、思い出すことがある。
もう名称は忘れたので、仮に「社長視察」といっておこう。
年に一度か二度だったか、社長が支社を視察に来ることがあった。
「社長視察」の日程は、事前に各部署に連絡がくる。
社長に失礼がなきよう、各部署は準備と対応に追われるのだが。
私がいた支社は、工場も隣接していた。
その日が近づくと、工場の壁が塗り直され、足場に積み上げられているダンボールなんかが取り除かれる。乱雑な工場内が、妙にすっきりするのだ。
社長がお目にかかったときに、お咎めがないようにだろうか・・・
その「社長視察」の当日になると、社員がいつも使っている階段にロープがはられた。
社長が巡回するルートには、一般社員が通れなくなる。その日だけ、私たちは非常階段を使って、支社内を移動しなければいけない。
なので、社長が我々一般社員を目に触れることは、あまりないといって言いだろう。
まるで大名行列みたい。私たち平民は、殿様と目をあわせてはいけないがごとく。
無事、ソノ日が終り、社長が支社から出ると、ロープは外される。
社長に粗相が無かったと、社内にほっとしている雰囲気が感じられる。
が、今にして思えば、ちょっと変だ。
社長視察の目的は、やはり生の現場を知るためじゃなかったのだろうか。
外部の人たちに取り繕うのはまだ分かるんだけど、社長とはいえ、内部の人間に生の姿を隠す必要があるのだろうか。
もちろん、これはいちOLの私の意見であって、社長視察の目的は、私の思考が及ぶ範囲外にあったのかもしれない。
また見方を変えれば、その社長視察をきっかけに、支社や工場の整理整頓が実行されるので、非常によい機会でもあるのだが。
それを踏まえた上で、あえて述べるなら・・・
会社を離れ、外部の人間のごとくみてみると、内部の人間に気を使う暇があれば、もっとやるべきことがあるのではないのだろうか。
いや、もし社長視察が「現場を知るため」であったとしたら、抜き打ちで来社した方がいいかもしれない。
うーむ。
それから10年以上も経つし、組織形態もだいぶ変わったらしい。
今は、そんな風習?は、もう過去のものへと変わっているかもしれないけどね・・・
しかし、ブラザー工業のように、社長をあだ名で呼ぶなんて、考えられないなぁ。

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