真実はどこにある?
海に連れてってほしいな・・・
幼いころ何度か母に頼んだけれど、何だかんだ突っぱねられてました。
だからでしょうか、海にはちょっとした憧れがあります。
聞き入れてもらえなかった、せつない思いとともに。
トラウマとまではないのですが、今だに寂しい思い出として蘇ります。
しかし、最近ですが、ふと母に問うてみたのです。
「あんなにお願いしたのに、なぜ海に連れてってくれなかったの? 寂しかったわ。」
えっ・・・と戸惑いの表情を一瞬見せましたが。
予想を打ち砕く答えを母は返したのです。
「何言ってるの? よく連れていったよ。覚えてないの?」
えっ??
「須磨とか南港とか・・・家族で潮干狩りとかしたよ。」
うわぁ、具体的な海水浴場の名前まで出てくるじゃないですか!
母の表情に、一点の曇りもありません。この後さらに、具体的なエピソードも出てきました。
そうなんです。私、どうやら・・・
記憶を捏造していたのです!
私が小学校に入ってからは、確かに連れていってないだろうとのことでした。
潮干狩りはかき消され、記憶に残ったのは小学生のときのみ。
つまりお願いしても叶わなかったことだけです。
「海に憧れる少女」というキャラを作り上げるのに、記憶を上書きしたのでしょうか。
一方で、母による巧妙な捏造という疑惑も全くのゼロでは無いですが・・・。
しかし、そんなの今さら分かりませんし、追い求めても全く意味がありません。
心を痛めたエピソードほど真実以外にありえなく思いますが、実際には捏造も入り混じっているでしょう。
真実があるとしたら、むしろソレかもしれません。