もうこの手の発言は許されない

吉野家の役員が講師を務めた早稲田大学の講座での発言が、物議を醸しています。

発言内容は、ネットで調べるとすぐに分かりますが。
「生娘にシャブ漬け」、まぁ令和の今でも、公にこんな発言を臆面もなくする方がいるというのに驚きました。

現在、アラフィフである私。女性に関する発言の変遷を目の当たりにしてきました。

遡ること90年代。20代で会社員をしていた頃、こういった類の話で盛り上がっているおじさんは、あちこちいました。

「女の子は可愛ければいい。そんな無理して仕事を頑張らんでも」
「そんなんやったら、誰も嫁にもらってくれへんで」
「30歳すぎた女性は、30%オフ」

などなど。今でこそアウトな発言でしょう。
当時は、こういった発言で笑いをとっても、咎められることはありませんでした。

セクハラ、女性蔑視といった概念も今よりうんと希薄でしたし。
そんな発言をされて、決して良い気がしなかったものの、目くじら立てる方がかえって無粋とされる・・・そんな暗黙な風潮が漂ってました。

同性である女性からも、「そんなこと、いちいち気にしないで、はいはい言っておけばいいんちゃう?」と言われる始末です。

時は流れ、女性差別に対して声を上げて下さった方々のおかげで、少なくてもマスメディアを通しては、こういった発言を耳にすることは減りました。

むしろ、「女性差別!」とバッシングを受けている発言やサービスの中に、「ええ、これくらいのこと・・・」と、私自身は思ってしまう事案すらあるほどです。

ただ今回、不適切発言をした吉野家の取締役は、謝罪はしたようですが。
それは「こういう発言をして傷つけてしまった女性たちに申し訳ない」と、女性たちに心を痛めての謝罪ではないでしょう。

「自分の発言で会社や大学に迷惑かけたこと」に対しての謝罪であり、「うかつにもこんな発言をしてしまった自分への」反省ではないでしょうか。

同世代以上の男性の姿をみると、こういった女性蔑視にあたる考えは、まだまだ地下深くに根を張ってます。

ご自身はリベラルであらゆる差別は反対!と公言している人のなかにも、本当に無意識で出た発言で、差別らしきものがにじみ出ることもありますから。

その場は笑っていたかもしれない女性たちも、決してその言動は忘れていません。
不快なものは不快、そう一つ一つ口に出していかねば、差別する側が気づくことはないのです。
「もう、こういう事を気軽に言ってはいけないんだ」「いちいち炎上するんだ」と、まずは形からの学習から入ってもらうしかないでしょうね。

時代は流れ、人々の意識も少しずつ、でも刻一刻と変わっていきます。
ずっと同じ場所に住み着いていると思っていても、吹く風は、空気は変わってしまっているかもしれません。

自分の考えは、今では古い何かかもしれない。
そんな視点は、いつも頭の片隅に持っておきたいです。