グレイテストショーマン
「とにかく感動した!!」
「生きてるってすばらしいと思える作品!!」
SNSをはじめとして、大絶賛の嵐が吹き荒れています。
走馬灯のよう、シーンが目まぐるしくに移り変わっていく・・・
見終わったあと、そのスピード感に軽くフラつきました。
- 家族思いのバーナムが自分の成功のため、なりふり構わなくなったのも
- バーナムが光を追い求めすぎて、大切なものを見失ったことに気づくのも
- バーナムと共同経営するフィリップが、団員たちとの絆を深めるのも
心情の変わる兆しはなく、次の場面ではそうなってるという按配です。
大ざっぱな作りだなぁ、そんな印象は否めません。
ただし、この映画の魅力はそんなところにはないのです。
後になって、そのことに気づきました。
- 自分とは違う他者と交流を深めることにより、彼のこころに変化を呼び覚ましたとか。
- 成功を追い求めるなかで、何かを置き去りにしたことに気づいた など
変化は、時系列の流れに沿って起こるものだと思いがちですが。
本当のところは・・・どうでしょうか?
本作で、涙があふれて止まらなくなったシーンがありました。
バーナムのショーの団員たちは、ヒゲを生やした女性や全身入れ墨や、子どもと同じ背丈しかない成人男性など。
世間一般では差別の対象となる人たちです。
彼らはあるとき、バーナムに冷たくあしらわれます。
言葉の刃に深く傷つく彼らをみて、私も胸がキリリと痛みました。
が、次の瞬間、変わります。
人間としての誇りを取り戻そうと、天まで届く声で高らかと歌い上げたのです。
その姿に、心のふるえが止まりませんでした。
・・・なぜだろう?
いや、理由なんてどうでもいいんです。
スクリーンいっぱいに響きわたる歌声、そのど迫力を前に吹っ飛んでしまいます。
プリミティブな心の叫び
何者にも奪うことができない人間の品格
身体の奥から突き上げる 魂の躍動を感じました。
理屈を問わない 荒削りな作品だからこそ、胸ぐらをグラグラ揺さぶってきます。
- バーナムが、なぜ歌姫リンドの元を離れようとしたのか・・・
- 本当に大切なのは 家族や団員たちだったとなぜ気づいたのか・・・
そう。人が変わる瞬間に、本当は理由などないのです。
ある瞬間、変わろうとする衝動が、卵の殻を突き破ります。
気がつけば そうなっていた。
変化の理由を、自分なりに言葉でつなぎとめてみても
そんなのは、自分を納得させる言い訳にしかならないのです。
人が変わる瞬間は、一瞬よりさらに短い時間なのかもしれません。
変わろうとする衝動を 目でみて聞こえるものとして表現してみたのが、登場人物たちが心の奥底から張り上げる 歌声です。
原因と結果、そしてストーリーに慣れきった私にとっては唐突すぎたのですが、俯瞰の位置からながめた人生は、荒唐無稽のつなぎ合わせなのでしょう。
音と色、ダンスが絶え間なく繰り広げるなか
映像がもつチカラで、体感に直接訴えかける本作品は、超ド級の衝撃でした。