過去が確定してしまった!?

「わたし、怒っていたのかもしれませんね・・・。」

過ぎた出来事を思い返して、そのときの自分の気持ちを言葉にすることがありますよね。

もちろん、その時は見過ごしていたことを言葉にすることで、これからの展望が変わることもあります。

ただ、何ごとにも光があれば影ありで、言葉にすることのデメリットも生じるのです。

 

そのときどきで起こったこと、そこで生じた自分の気持ち。

かなり腹が立った、嬉しかったなど、ハナから白黒がハッキリしている場合もあるでしょう。

しかし、気持ちを明確にしないまま、する必要も感じないままで、やり過ごすことも多いのではないでしょうか。

ひょんなことで、その時の気持ちを改めて問われたとき、どうでしょうか?

そういえば・・・と思い返してみても

そのとき、その現場で感じていた気持ちは、常にひとつとは限りません。

複数の思いや気持ちが、同時多発することだって珍しくないのです。

ただ、問われた相手とのやりとり次第で、一つの結論へと流れていくことがあります。

「わたし、怒っていたかもしれない・・・。」

たとえば、そう口にしたとしましょう

言葉に出るということは、大なり小なり怒りを感じていたはずなので、ウソではないと思います。

ただ、それ一辺倒だったとは限りません。

「わたし、怒っていたのですね・・・。」

口に出した地点で、どっちつかずだった気持ちが確定してしまいます。

同時に、怒りを感じた過去が急速に生成されるのです。

そうすると、どうでしょうか?

逆算して、なぜ怒りを見過ごしていたのか、理由を語ることもあるでしょう。

どこかで我慢していた、そんなこと思ってはいけないと・・・など。

当初はくすぼってもいなかった、その人に対する怒りに火がつくかもしれません。

言えば言うほど、怒りがますます固定化されるのではないでしょうか。

 

ただし、よく考えてみれば、です。

その時、それほどまでに怒りを感じていたと言い切れるかどうか・・・

ライブに戻れない以上、回想を思い返してみた”今”、感じる気持ちで判断するしかないのですが。

”今”が変われば、過去が変わる。

名もなき過去の一点に言葉を与えることで、決定づけられるのです。

 

過去に感じた自分の気持ちを振り返り、言語化することはとても大事ですが。

一方で、どうとでもとれる思いを、一気に一つの結論に押し込める場合もあります。

今、確定してしまった過去が、未来にも影響を及ぼす。

このことは、頭に入れておいていいのではないでしょうか。