こう言い返せば 相手はギャフンとなったのに・・・
先日、素敵な絵本を頂きました。
海外の書籍を翻訳する際、日本語には対応する概念がなくて苦労すると聞いたことがあります。
この書にも日本語で安易に当てはまらない、世界のことばが紹介されていますが。
そのなかで、おぉっと目を見開いたことばがありました。
TREOVERTER(トレップウェルテル)
直訳すると「言葉の階段」
あとになって思いうかんだ、当意即妙な言葉の返し方。
例えば、日常生活でこんなことはありませんか?
ある人と言い合いになったとき、その場では満足な言い返しが出来なかったこと。
思うように表現できず、口をつぐんでしまった体験ですね。
「あのとき、あの人にこう言い返したらよかったな」
クヤシイことに、後になってから適切な切り返し・・・いや、有無を言わせない言い分を思いつきます。
時間がたつと、相手の言い分の欺瞞や矛盾も見えてくるからです。
まあ、冷静に考えたら、そうですよね。
後だしジャンケンなら誰でも勝てるのです。
しかし、時計の針は戻せません。
せいぜい脳内リバイバル劇場のなかで、するどい一撃を放ち、ぐうの音も出ない相手の姿を思い描くだけでしょうか。
相手と噛み合わないとき、後になって当意即妙なセリフを思いついたことは一度や二度ではないはずです。
しかし、このシチュエーションをひとことで表現する日本語はなく、私のなかでも空き地のままでした。
イディッシュ語(※ドイツ語の一方言とされてます)のことば TREOVERTER が、ソレを表します。
(※参照 wikipetiaより)
宙に浮かぶあいまいなものが、ことばによって切り離されます。
今後、TREOVERTER(トレップウェルテル)を、きちんと体験する機会は増えるでしょう。
日本語という持ち駒を使って、今日も私は世界すみずみまで理解しようとしています。
生きた年数も長くなり、以前よりもずっと全体像が見えてきた、そんな錯覚にも陥りがちですが。
世界は私が思った以上に空白がいっぱいで、手付かずのままなのかもしれませんね。