ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

このお正月、ベストセラーとなった書を読みました。


イギリス在住のブレイディみかこさんのお子さんが通うのは、(著書いわく)元底辺中学校です。人種差別や思春期の子どもたち特有のゴタゴタに巻き込まれながらのスクールライフを、さわやかに描いています。

地元の公立中学校に上がるか? それとも私立中学に進学するか?

中学受験が盛んな地域では、保護者の方々の話題によくのぼるテーマです。

社会に出れば、いろいろな背景を持つ人と接していかなければならない。
似たような人間だけで固められては視野が狭くなるのでは? 

地元の公立がいいと推す意見で、よく見かけるものの代表でしょうか。

それに対して、あえて私立中学に進学させたい理由として、以下のようなのを聞きます。

周りが切磋琢磨して学ぶ環境に、子供を進学させたい 

公立中学・私立中学とも、どちらも一長一短があります。
ご家庭の価値観、そして子供自身の意思を尊重しながら、進学先を決めればいいでしょう。

ただ、地元の公立中に進学させる親としては、この小説の主人公である「ぼく」のような成長を望んでいるのではないでしょうか。

日本人の血が混ざる「ぼく」は、肌の色によってもたらされるイギリス社会の縮図を肌で感じ、様々な生育環境の子供たちに揉まれながら、しなやかに成長していきます。

家が貧乏でモノが買えない、その子に「あること」をしてあげたい・・・

プライドを傷つけずに手を差し出すにはどうしたらいいか・・・、そう悩む「ぼく」の目線は、ほんのり温かいものでした。

とはいえ、雑多な環境に送り込めば、「ぼく」のように社会の空気をうまく吸い込んでいけるとは限りません。

その子それぞれで個性も違うので、うまく泳ぎきれない子もいるかと思います。

ただ、感受性が多感な時期に、社会の肌触りを吸収していく姿に、たくましさを感じました。

最後に、著者であり母であるブレイディみかこさんと「ぼく」のやりとりの中で、印象的だったのをお伝えします。

 

「多様性ってやつは物事をややこしくするし、喧嘩や衝突が絶えないし、そりゃないほうが楽よ」
「楽じゃないものが、どうしていいの?」
「楽ばっかりしていると、無知になるから」

「多様性は、うんざりするほど大変だし、めんどくさいけど、無知を減らすからいいことなんだと母ちゃんは思う」