スタンド・バイ・ミー ドラえもん

あんなこといいな~ できたらいいな~♪
日本人なら誰でも知っている、国民的長寿アニメの映画版を観てきました。

前情報をあまり仕入れずに映画館に臨んだのですが、漫画「ドラえもん」初期のストーリーがそのまま映画になった作品でした。

ストーリー自体が70年代に作られたものとあって、時代錯誤を感じるところが幾つかありました。例えば、のび太の国語のテストが0点で、「またか!」と先生が皆の前でカンカンに怒っていましたが、そんな先生は今ドキいるのでしょうか?

また、ジャイアンがのび太をボコボコにやっつけてましたが、今の時代にソレをやったら、タダ事ではすみません。

フィクションとはいえ、当時の読者も大して違和感を感じなかったのでしょう。ある意味、おおらかな時代だったと思います。

懐かしい匂いを感じつつ、物語はクライマックスへ進みます。
いつもやられっぱなしののび太が、ジャイアンに立ち向かうシーンがありました。

どれだけ傷めつけられても、立ち上がるのび太の姿。
確かに感動的なシーンでもあり、周りからもすすり泣きが聞こえてきます。

私の目にも尋常ではないほど、熱く流れるものがありました。

幼い頃、一番好きだったアニメは何か? そう聞かれたら即答します。

「ドラえもん」
不思議なポッケで何でも叶えてくれるドラえもん。

私のところにも来てくれたらなぁ・・・引出しをそっと開けてみた幼い頃の自分を思い出しました。やがてドラえもんからも遠ざかり、娘がTVアニメを観るまでは、長らく目にすることはなかったのですが。

のび太がタイムマシンに乗って、成長した自分を会いにいく場面があります。そこには近未来の社会が広がっていて、大人になったのび太やしずかちゃんがいました。

ドラえもんに夢中だった7歳の頃
成人した大人、つまりお父さんやお母さんのような人たちと幼い自分が地続きで続いているなんて、どうもピンときませんでした。

のび太が近未来の自分を目にしたときのごとく、幼い自分とはまるで別の人間のように思っていました。

やがて月日は経ち、あの頃の自分からみて、近未来の自分へと成長していきましたが。
ドラえもんやのび太はあのときと変わらない姿で、そばにいてくれました。

映画館の暗闇に包まれながら、甘酸っぱくて懐かしい気持ちががそっとこみ上げてきたのです。

 

「すべての、子ども経験者のみなさんへ」
今回のドラえもん映画は、大人になった「かつての子供たち」にとって、ふるさとのような作品だったかもしれません。

最後にしずかちゃんのお父さんが、のび太との結婚に迷う大人のしずかちゃんに言った名セリフを紹介します。

人の幸せを願い、人の不幸を悲しむことができる。
それが人間にとって一番大切なことだからね。
彼なら間違いなくきみを幸せにしてくれる

原作者・藤子不二雄さんの温かい人間観が込められたセリフが、横にいる娘に届いたのは嬉しかったです。