スティーブ・ジョブズ

主役を務めるアシュトン・カッチャーが、見事にジョブズを再現していました。

ジョブズの功績は、ここで述べるまでもありません。
iPodやiPhone、iPadといった革新的な製品を次々と世に出し、世界中の人達のライフスタイルを変えていきました。

クリエイティビティ -
スティーブ・ジョブズを語るのによく使われることばですが、彼は全くのゼロから何かを生み出した人とまでは言えないでしょう。

イメージすら分からないほど未知なモノに対して、人は警戒心を抱くと言われています。
これには、私たちファインネットワールドも経験があります。

2000年前後、まさにコーチングが日本に紹介された頃から関わっていますが、最初は「コーチング」「コーチ」の説明に明け暮れてました。

「コーチって、かばんのことじゃないの?」
「高知県と関係ある?」
「話を聞いてもらうだけ? 近所の井戸端会議とどう違うの?」

そんなやりとりがあったことも、今では懐かしいですが(笑)

とにかく、コーチングを受ける・受けないの前に、その概念やシステムを説明する、いわば伝道師的な役割まで担う必要がありました。

製品も同じですよね。
まだ誰も手にしたことがない製品ならば、その意義や使い方、生活にどう役立つかまで、ある意味教育する必要があります。

その点、iPhoneを例に取ってみると、どうでしょうか?
ご存知のとおり、携帯電話はすでに世に浸透していました。

全くのゼロからのスタートではなかったのです。

 

ジョブズが違っていたのは、シヴァ神かのごとく、イチをゼロに壊したことだと思います。

iPhone発売直前まで、今で言うガラパコス携帯-つまり上段にディスプレイ、下段にテンキー -これが「携帯電話たるもの」の共通認識でした。

通常はイチをさらに発展させそうなものですが、ジョブズは一旦、その共通認識を壊しました。
携帯電話というプロダクツを再構築し、世界にスマートフォンという分野を新たに創りだしたのです。

「コーチングってなんですか?」
今も尋ねられることはありますが、10年前に比べると、ビジネスパーソンを中心に知名度は格段と上がってきたのは感じています。

「コーチング」「コーチ」といえば、それだけで通じるようになってきたのですね。

だからこそ、要注意でしょう。
「コーチングたるもの」の固定概念に、私たちも陥ってしまっているのは否めません。

その概念を取り壊した向こうに、私たちもまだ知らない、触れてもいない、コーチングというものの新しい可能性が潜んでいるのかもしれません。

これは世にある製品・サービス全て、そこに関わっている人全てに言えることでしょう。

 

ちなみに映画の中では、iPhoneのことは触れてません。iPodを世に出すところまでで終わっています。

「世界を変えたいんだ」

今までこういうものだと見做されてきた製品、コンピュータに新しい息吹を吹き込んだ、若き日のジョブズの姿は映画の中でもイキイキと映しだされていました。