性格なんて一言ではいえない
「お子さんの性格は?」
先日から始めた習いごとの申込書を前に、うーんと唸ってしまいました。
それこそ10年以上、寝食をともにする存在ですが・・・。
「自分の子供の性格が分からないって言う人がいたけど、そんなんありえないよね~。」
かつて友人から同意を求められたときも、ハハハと曖昧にごまかしました。
子どもの性格って、そんな一言で言い切れるものなの?
あの時の霧がかったモヤモヤは、5年以上経っても消えずにいます。
もちろん日常でも問われますので、軒先にこたえを置いてあります。
「負けず嫌い」だの「時々おっちょこちょい」だとか。
でも、それは私が目につきやすい、娘の側面です。
学校での顔、大勢の人前ではどうか、仲の良い友達の前では・・・と。
各シーン、関わる人によって、表に出る性格も変わって当然ですから。
だいたいにおいて、です。
私は自分の性格ですら、分かりません(断言ッ)
「元気」「きっちりしてる」「右脳的だね」
ソレもそうなのですが、天の邪鬼なワタシが釈然としないのです。
「いや、私ってよく落ち込んでるし」
「日頃、ヌケてるし」
「ロジカルなところも強いっ!」
しかし「暗い」「ドジ」「左脳的」とレッテル貼られても、自分の一部が切り取られたにすぎません。
相反するパーソナリティ、野原に咲く花々のよう咲き乱れてます。
おおよそにおいて、人見知りは強い私です。
そう語った翌日、初対面の人と臆することなく話す自分がいたり。
昨日は気が弱くて言い出せなくても 今日は負けん気が盛んなこともあります。
「あれ? いつもの朝比奈さんと違う・・・おかしい・・・」
そう戸惑われても、答えようがないときもありますが・
どの目が出ても サイコロには変わらないように
誰しもが、一つの断面だけでは言い切れないのです。
一人の人間の内面世界は、多様性に満ちてます。
いきなり丸呑みしようとすると、消化不良を起こしかねません。
だから食べやすいように、一口サイズで切り取ります。
その一口で、全部を言い切れる気になってしまいますが・・・
多様性を多様なまま、口に入れるとどうでしょうか。
甘みや口当たりの良さのなかに、混じっています。
よく噛むと舌がヒリヒリする、ほろ苦いスパイスが。
「あの人の性格は?」
本来、ひと言で表現できるものではないでしょう。
さらに噛めば噛むほど、思いもよらない隠し味がどんどん出てきます。
「あんな人だと思わなかった・・・。」
よくありがちな幻想を抱くのは、一口サイズの功罪ではないでしょうか。