夢から醒める勇気

学歴や経歴の詐称騒動は、昔からおなじみの話題ですが。

そんななか、実在の結婚詐欺師をモデルにした映画「クヒオ大佐」を観ました。

海軍のパイロットと名乗るクヒオ大佐(偽名)が、交際した女性からお金を騙しとっていくというお話です。

いついかなるときも海軍の制服に身を包み、いかにもガイジン風の日本語で、戦場での体験をさもありなんと語り出す。

堺雅人さんの演技力もあるのでしょうね。

クヒオ大佐本人も本気でそう思い込んでるのではないか? と観る側が思うほどになりきってました。

 

映画クヒオ大佐

 

夢や理想をえがいてソレになりきること自体は、さほど珍しくありません。

むしろ、自己啓発や心理学ではおなじみの手法です。

例えば、お金持ちになりたいとして。

まずはお金持ちが立ち寄るホテルのラウンジでお茶をのみ、持ち物もお金持ちにふさわしいものを身につけようと、その手のセミナーでは推奨されます。

実際に自己催眠、つまり自分で自分をそうだと思い込ませるチカラが強い人は、周りからもそう振る舞ってもらいやすいです。

クヒオ大佐は、自己催眠にも長けていたのでしょう。

ただ残念なことに、その能力を悪用してしまったのですが・・・。

「騙したんじゃない、相手が望む事をしてやっただけだ!」

結婚詐欺がバレたときに、クヒオ大佐が放ったセリフですが。

松雪泰子さん演じる女性は、クヒオ大佐がささやきかけるバラ色の人生に賭けようとしていました。

彼を信じて、その未来を堪能している時間は、彼女にとって至福だったに違いありません。

劇中で、彼女がクヒオ大佐への疑念がよぎるシーンもあったのですが。

幻をつかまされたのだと認めるのは、言葉でいうほど簡単ではありません。

信じていたいという思いが強ければ、多少のほころびなど、いとも簡単に目をそらしてしまいます。

詐欺に騙されることはマレであっても、程度の差はあれ、誰にでも起こりうることです。

クヒオ大佐の詐欺にあった女性を嗤うことは出来ないでしょう。

 

夢をみる 夢に生きることは、人生においてとても大事だと思います。

ただ、それと同時に

夢から醒める勇気を迫られる場面も、時にはあるのではないでしょうか。