【エッセイ55】手応えを求めないときに
本当にクライアントにとって実りのあるセッションになるのは、どういうときでしょうか?
私の経験から言うと、コーチがコーチングセッションで上手くいったという手応えを「求めない」ときです。
クライアントが深く気づいたり、あり方が根底から変わるようなセッションは、うまくやろうという意識がコーチにないときに起こることが多いです。
クライアントがものすごく喜んでいるのは伝わってくるけれど、コーチは自分のコーチングがうまくいったからだという意識は全くない。だから、なぜそんなに喜んでくれているのかわからないので、嬉しいけれど戸惑ってしまう。
そんな体験をしたことがあれば、どうぞ自分を認めてあげてください。
どうしてもコーチは、セッションに手応えを求めてしまいがちです。
けれども、手っ取り早く手応えを実感できるようなスキルを身につけるのをやめると、これでいいのだろうかという不安は出てきますが、真にクライアントにとって実りのあるセッションができる余地が生まれます。
それこそが、本当の意味で、クライアントを信頼し、自分自身を信頼するということではないでしょうか。
「相手が必要とする答えは相手にある」
コーチングの原点をいつも忘れないでいたいですね。