【エッセイ73】あなたは「一人」ではないって、どういうこと?
もしあなた自身が、もしくは、あなたの周りの人が、
自分の中の相反する性格で悩んでいたりしたら、
今回の話はお役に立つかもしれません。
あるときは臆病でビクビクしているけど、
別のときは大胆で怖いもの知らずになる。
あるときはとても親切に思いやりあふれる接し方をするのに、
別のときは突き放すように冷たくなる。
あるときは理性的に物事を考えようとするのに、
別のときはなんとなくの感覚で選んでしまう。
こんな相反する自分に出会うと、
「一体、どっちが本当の自分なんだ?」
と、悩んでしまうかもしれません。
私も長年、そのことが疑問でした。
自分のことがよく分からないと、悩んだ時期もあります。
ところが、あることを知って、
「そうか、そういうことか!」とストンと腑に落ちたのです。
一体、何を知ったのか?
何のことはない。
「実は、私は『一人』ではない」
ということです。
自分という存在は「一人」ではなく、
複数の存在が同居している「集合体」と捉えると、
矛盾せずスッと受け入れられたのです。
例えるなら、
一部上場企業のように社員が何万人といるような大企業だと
それはそれは様々な個性を持った社員がいるわけです。
私という人間もまた、大企業のように様々な個性の集合体と考えるなら、
大胆な人も、憶病な人も
優しい人も、冷たい人も
理性的な人も、直感的な人も
バラエティーに富んだ人たちが自分の中にいるということは、
むしろ、様々な場面で対応できるレパートリーの豊富さにつながる。
今まで知らなかった自分の一面と出会うことは、
こわいことやイヤなことではなく、
個性がさらに豊かになるチャンスなのかもしれません。