【エッセイ79】人生の質を決めるものって?
『人生100年時代』と言われますが、人生の長さと人生の質は同じでしょうか?
おそらくですが、長ければ長いほど質も高まると、単純に比例はしないでしょう。
では一体、人生の質は何で決まるのでしょうか?
もちろん、唯一無二の答えはありません。
ですが、私は人生の質は「問い」によって決まると思います。
問いがあるところに興味関心が生まれ、興味関心があるところにさらに問いが生まれる。
かつて私がツアー旅行に行ったときのことです。ツアー客の中にとても石に興味のある男性がいました。
川沿いを歩いていると、「あれは○○石で、あっちは△△石で・・・」と他の人への説明している声が横から聞こえてきました。目を向けると、石があるのはわかるのですが、その違いが私にはさっぱりわかりません。
その瞬間、単に見えていることとハッキリと認識できていることとは全く違うことなんだと腑に落ちたのです。
その男性は石に興味関心があったので石の違いを微細に認識できたのでしょうが、私は全く興味関心がなかったため、色が違う石があるとしか分からなかったのです。
もっと言うと、その男性の説明を耳にしていなかったら、仮に同じ景色を見ていても、色の違いどころか石がそこにあることさえ気づかなかったでしょう。
ある対象に対して「これって何だろう?」「どういうことだろう?」「なぜだろう?」と問いを持つと、対象をより深く認識できるようになります。逆に言うと、興味関心が向かなければ、見ていても見えないし、聞いていても聞こえない。
自覚的であろうが無自覚だろうが、興味関心が向いていることを五感でキャッチする。そして、五感でキャッチしたことが体験となり、人生の質を形作る。
ならば、興味関心が向いていることにもっと自覚的になれば、見ているけれど見えていなかったものに、聞いているけれど聞こえていなかったものに気づけるようになるのではないでしょうか。
4月は学校や多くの職場で新しい年度のスタートです。あなたはこの4月、何に興味関心を意識的に向けますか?