【エッセイ84】揺れ動く感情と上手くつきあうために

 

今までに体験したことがない出来事が目の前に現れたとき、心が揺れ動くのは、人間としてとても自然な反応だと思います。

晴れた穏やかな天気の日は、船もさほど揺れることはありませんが、台風や大嵐のときに航海していると、転覆するかもと思うくらい揺れも激しくなります。

大雨と暴風の渦中にいると、この嵐がいつまで続くのかと、先が見えないことに不安や心配、恐怖といった感情で覆いつくされるように思うのも無理はありません。

こんな状態のとき、どうすればいいのか?

コーチングのセミナーなどでは、

「『そういう気持ち(不安や心配、怖れ)を感じて当然だ』と、まずは自分の気持ちを肯定してください」

とお伝えしています。

人間は一般的に、未知の状態、かつ、対処できないかもしれないと思ったことに遭遇したときは、不安や心配、怖れといった気持ちを感じる生き物だという話をどこかで聞いたことがあるかもしれません。

なので、そういう気持ちを拒絶し、無くそうとするのではなく、不安や心配、怖れを感じるのは何もおかしなことでもダメなことでもないと知るだけで、必要以上に焦らなくなり、落ち着きも取り戻せるでしょう。

とは言え、私たち人間は、そういう未知かつ対処不能に思えることに遭遇したとき、不安や心配、怖れを抱きながらも何とかやってきた生き物でもあります。

これは、人類という種もそうですが、一人一人の個人もまた同じです。

もしかしたら、すっかり忘れているかもしれませんが、誰しも危機的と思える出来事を何度も何度も乗り越えて、今があるのではないでしょうか?

楽観視できるシナリオはまだ見えないかもしれません。

そんなときは、少し時間を取って、あなたがこれまで歩んできた人生を振り返ってください。

案外、タフな自分がいたことに気づくかもしれませんよ。