ヒロはコーチングをスクールで学び始めて、大きく3つの学ぶべき要素があることを知った。
コーチングセッションでヒロが傾聴をするとき 相手の話を聴くとき、 ヒロは相手の話を聴こうとはしていなかった。
ヒロはカウンターの席に一人つくと、マスターに挨拶をした。以前ミヤモトに連れてきてもらったあのバーに、ヒロは今日は、ひとりでやって来た。
この時ヒロは決意をした。 見てろよ! 絶対….絶対、コーチングで成功して見返してやる。自分が言ったことを後悔させてやる!と。
季節が変わるころ、ヒロは勤めていた人材育成の会社を退社した。会社の仲間たち、上司たちはみなヒロが去るのを惜しんでくれた。
「やあ、ヒロ、お待たせ、遅くなってすまない」 そういうとミヤモトはカウンターに座るヒロの隣の席についた。
その男性との出会いはヒロがかつて務めていた会社のクライアントからの紹介だった。男性の名はAさんといった。有名な運送会社の2代目社長だ。
ヒロは派手ではないが、着実に成長していく自分のビジネスに自信を持っていった。が、2年目の春を迎えるころ、その流れに陰りが出始めた。
独立してコーチングをはじめて、ヒロは3年目を迎えていた。3年….思えばいつの間にかそんなになっていたのか…。「思えばよくやってきたな」ヒロはひとりつぶやいた。