「やあ、ヒロ、お待たせ、遅くなってすまない」 そういうとミヤモトはカウンターに座るヒロの隣の席についた。
その男性との出会いはヒロがかつて務めていた会社のクライアントからの紹介だった。男性の名はAさんといった。有名な運送会社の2代目社長だ。
ヒロは派手ではないが、着実に成長していく自分のビジネスに自信を持っていった。が、2年目の春を迎えるころ、その流れに陰りが出始めた。
独立してコーチングをはじめて、ヒロは3年目を迎えていた。3年….思えばいつの間にかそんなになっていたのか…。「思えばよくやってきたな」ヒロはひとりつぶやいた。