クライアントインタビュー
Client InterviewクライアントインタビューVol.18 ~ S・Hさん
広島県出身。大学卒業後、ソーシャルワーカーとして公共機関、急性期病院に勤務。
相談業務・虐待対応・専門職育成等に従事する。
疾患や障がい、どのような環境下であってもその人らしく生きることを目指し支援。
現在は、対人支援の経験を活かしコーチとして活動中。
クライアントインタビュー
クライアント: S・Hさん
インタビューアー: 赤木広紀
「本当はどういう生き方をしたいのか?」その答えが、当時持っていた安定志向とは全然真逆でした
まずは、Sさんと、コーチングとの出会いを教えてください。
新卒2年目のときに、職場で実施された研修で知ったのが初めてでした。
ただ、そのときは「コーチングというのがあるんだ~」というくらいの印象でしたが。
職場の研修で知ったけど、そのときは心に残らなかったのですね。
改めて、コーチングに興味を持つようになったきっかけは何だったのでしょうか?
働き始めて10年くらい経った頃に、離婚を経験しました。
それをきっかけに「これからは他人の価値観に応えるのではなく、自分の人生を自分で創っていきたいなぁ」と思い始め、興味が趣くことを色々とやってました。
ちょうどそのときに、コーチングを学んだ方と話す機会があったのです。
「本当はどういう生き方をしたいのか?」
その方との会話のなかで、自分も抱いていたその問いと向き合うことになったのですが。
当時持っていた安定志向とは全然真逆の答えが自分の中から出てきたのです。
当たり前のようにあった安定志向が外れたので、
えっ? 何コレ? もっとこの世界を知ってみたい!
そう思ったのが、コーチングとの二度目の出会いでした。
そんな体験があったんですね。
元々は安定志向だと思っていたのに、真逆の答えが出てきたということですが、どんなのが出てきたのですか?
もっと自由に生きたいというのが出てきました。
目先の仕事に埋もれていくのではなくて、もっと自分がやりたいと思っていることに時間を割いていきたい、というのが。
その体験がきっかけで、コーチングを学ぼうと思ったのですか?
実は、コーチングを学ぼうと思ったきっかけが、もう一つありました。
私は長年、ソーシャルワーカーとして働いていましたが、その限界を痛感していたのです。
相談者が、不安や恐れに飲み込まれるのではなく、自分の人生を生きているなぁという実感を持ってもらえるような関わりがしたいな、と思っていました。
しかし時間的な制約もあるため、実際にはなかなか出来なかったのです。
でも、もっと力をつければ、私が自分の枠が外れるような体験をしたように、相談者の内面から「生」を輝かせるサポートができるかもしれない。
コーチングとの二度目の出会いを経て、これを学べば何かが得られるかもしれない、そんな希望が見えました。
何かの打開策になればと、すぐにCTIジャパンのコーチングトレーニングコースを申込みました。
コーチングを学んでみて、どんな体験や変化がありましたか?
学んでいる途中、割と早い段階でソーシャルワーカーをやめて、コーチとして生きていきたいと思いました。
学んでいる最中で? どうして、そう思われたのですか?
ソーシャルワーカーとしての働き方が、自分にはもう無理なんだと分かったのです。
コーチング的な会話をするということは、相談者と一段も二段も深いところで関わることになります。
ですが、これは難しいのです。時間的なこともあって、ある程度妥協しなきゃいけないな、と。
でも、それだと今までと変わりがありません。
なら、働き方を変えようと思ったのです。
ただ、全く別の仕事に転職するという意識はなくて、ソーシャルワーカーとして歩いてきたその先に、自然とコーチという道がつながっていた感覚があります。
今まで歩いてきた道の延長線上に、コーチがあったのですね。
職業を変えると、当然、名称は変わりますよね。
ソーシャルワーカーからコーチへというように。
ですが、やっていきたいことは昔から何も変わっていません。
2時間のオリエンテーションが、あっという間でした
なるほど、満を持してという感じでしょうか。
ところで、私(赤木)を知ったきっかけは何だったのでしょうか?
CTIジャパンのコーチ紹介ページから探しました。
コーチングトレーニングの上級コースで、メンターコーチをつけるのが条件だったからです。
赤木さんがプロコーチを養成されているということが、最初に目に付きました。私自身、プロコーチを目指していましたから。
赤木さんのコラムやホームページを何度も読み返しました。
「あっ、この言葉を紡ぐことができる方は、人を大切にされる方に違いない」
心からそう思えたのが、決定打となりました。
ちなみにコラムやホームページのどの言葉に惹かれたとか、覚えてますか?
これっていう言葉が一つではなく、あちこちに散らばっている感じでした。
ただ実は、躊躇する気持ちもあったんです。
赤木さん自身がどうこうではなくて、ステレオタイプ的になりますが、男性の方にどこまで私が話せるか? 実際に話してみて波長が合うかどうか?
それが一番気になりました。
そりゃそうですよ。気になりますよね。で、実際に話してみて、どうでしたか?
2時間のオリエンテーションが、あっという間でした。
すごく楽しくて、何ともいえない高揚感がありました。
この先、どんな世界を私は見るのだろう。
今思えば、これからフェーズが変わるという期待と、何が変わっていくのだろうという好奇心がすごくありました。
あと、赤木さんに対しては、私が見えていない世界が観えている人だという印象がありました。
頼もしさを感じると同時に、私もその世界を観れるようになりたい、そんな気持ちを感じていた気がします。
ありがとうございます。
では、コーチングを受ける過程での、Sさんの気付きや体験を教えてもらえますか?
自分が見ようとしていた世界が広がったことですね。
コーチングを受け始めた頃より、今のほうが細かい網目で観れる感じがしています。未来の自分が楽しみになりました。
最初に比べると、自分のことを一面的に見るのではなく、立体的に観れるようになりましたね。
自分を責めることが減ったし、その結果、動きやすくなりました。
自分に対する言葉掛けも変わり、感情の波が落ちてもそこから戻るのが早くなりましたね。
「クライアントさんの目の前からいなくならないこと」を大切にしています
自分への言葉のかけ方や、感情の波の乗りこなし方、つまり、自分との付き合い方が上手になってきたんですね。
そういうSさんの変化が、Sさんのクライアントさんの変化につながっていると思うところはありますか?
クライアントさんがより力強く、ご自身の人生を前に進めている気がします。
ちなみに、Sさんはセッションのなかで、どんなことを大切にして関わっておられますか?
いくつかありますが、まずは私がクライアントさんの目の前からいなくならないということです。
目の前からいなくならないというのは、具体的にどういうことですか?
時々辛い経験をお伺いすることもあります。そこで私が後ろに下がってしまうと、クライアントさんは安心して、自分を出せないと思うのです。
どんな大きなものが出てきても、その場から逃げない、気持ち的にいなくならない、ということを大切にしています。
何のために私はクライアントさんの前に存在しているのか?
そこを毎回、自分に問うてます。
あとは、クライアントさんの存在を信頼することも大切にしています。
人は、弱さとそれ以上の強さを持っている。
だからこそ尊くて、すごく美しい。それはセッションのたびに、毎回感じます。
「世の中の可能性を大きくするために生きる」それが私のビジョンです
何よりもSさんが腹をくくってクライアントさんと向き合っていると思いました。
目の前のクライアントさんの全存在を受け入れようとしているから、クライアントさんも自分の良いところだけを出さなくてもいい。全存在を見せてもいいんだ、という深い安心感を感じられるんでしょうね。
そういう自分であり続けようという意思が、Sさんから伝わってきます。
改めて、Sさんのこれからのビジョンを聞かせてもらえますか?
ビジョンを一言でいうと、「世の中の可能性を大きくするために生きる」
そう最近、思いました。
世の中の可能性を大きくするというのは?
可能性がどんどん大きくなるのですから、無限大ですね。
今はまだ発揮されていないその人の才能や可能性を使える領域が大きくなったとしたら・・・
そういう人がたくさんいたら・・・
そういう世界が世の中に広がっていったら、どうなると?
もう想像ができないですね。
きっと今まで以上のスケールで、人はやっぱり弱いけど、尊くもあるということをしみじみと感じると思います。
「自然体になれる強さを手に入れることができる」と思います。
最後に、どんな方に私のコーチングが役に立つと思いますか?
色んな方に役立つと思いますが、まず、自然体になれる強さを手に入れたい人でしょうか。
これって、なかなか難しいです。
なぜなら、人は自分が話す言葉や過去の出来事、周りの人の影響であったりとか、色々なものにとらわれていますから。
自然体になれる強さを手に入れるためには、確固たる自分を作る必要があるなぁと。
自分のなかで絶対領域的なこと、それがあるからこそ、自然体になれる強さを手に入れることができるのだと思います。
私も昔に比べると、そうなってきていますね。
他には、どんな方に役立つと思いますか?
そうですね。どんな瞬間でも自分のことを信じたい人とか、自分も相手をもまっすぐ観たい人とか、自分の成長を意識したい人ですね。
プロコーチに限らず、対人支援職の方には、赤木さんのセッションを受けてほしいと思います。
カウンセラーやコーチに限らず、マネージャーやリーダーの立場にある方にも。
対人支援職の方が受けるとどうなると思いますか?
自分自身への扱い方や付き合い方が変わるから、周りの人に対する関わり方も変わり、見える世界も変わる。そんな体験をしてもらいたいです。
そうですね。自分自身への接し方、付き合い方が変わると、他の人への関わり方も自然と変わってきますよね。
自分にも相手にも本当に接したい関わり方ができる人が一人でも増えたらと思います。
今日はありがとうございました。
インタビューを終えて
「人は、弱さとそれ以上の強さを持っている。だからこそ尊くて、すごく美しい。それはセッションのたびに、毎回感じます。」
そう話してくれたSさん。
人間の弱さも強さも丸ごと受け入れて、クライアントの前に立ち続ける。
その凛とした姿が、インタビューから何度も伝わってきました。
「世の中の可能性を大きくするために生きること」
Sさんのビジョンに触れた多くの人が、
今まで気づかなかった自分自身の可能性に気づいていく。
そんな世界が拡がっていくことを願っています!